「口内炎ができたけど、いつもより大きくて治らない…」。そんな不安を抱えながら、インターネットで症状を検索し、怖い病名を目にして震え上がった経験はありませんか? 確かに、口の中にできる潰瘍の多くは一般的な「アフタ性口内炎」ですが、中には深刻な病気が隠れているケースもあり、その見極めは非常に重要です。特に直径が1センチを超えるような「でかい口内炎」の場合、それが単なる炎症なのか、それとも別の何かなのかを慎重に判断する必要があります。ここでは、巨大な口内炎に似た症状を持つ病気と、警戒すべきサインについて解説します。まず、最も懸念されるのが「口腔がん(特に舌がん)」との区別です。一般的な口内炎とがんの潰瘍は、初期段階では見た目が非常によく似ていることがあります。しかし、決定的な違いがいくつかあります。まず「硬さ」です。アフタ性口内炎は柔らかい粘膜にできる炎症ですが、がんは細胞が増殖して硬いしこり(硬結)を作ることが多く、指で触れると(激痛で触れない場合もありますが)周囲が硬くなっているのを感じます。次に「境界線」です。口内炎は赤く縁取られた境界がはっきりしていますが、がんは境界が不明瞭で、ギザギザしていたり、色が不均一であったりします。そして何より重要なのが「経過」です。通常の口内炎であれば、どんなに大きくても2週間、長くても3週間あれば徐々に縮小して治癒に向かいます。しかし、2週間経っても大きさが変わらない、あるいは大きくなり続けている場合は、悪性腫瘍の疑いが強まります。「痛くないから大丈夫」というのも誤解で、初期のがんは痛みがないことも多いため、痛みの有無だけで判断するのは危険です。次に考えられるのが、全身疾患の一症状として現れる口内炎です。例えば「ベーチェット病」という難病は、再発性の巨大な口内炎が主症状の一つです。この病気による口内炎は、一般的なものと見た目はそっくりですが、一度に何個も多発したり、治ったと思ったらすぐ別の場所にできたりと、執拗に繰り返すのが特徴です。また、口だけでなく、目や皮膚、外陰部にも症状が現れるのが診断のポイントとなります。もし、巨大な口内炎と同時に、目の充血や皮膚の湿疹、関節痛などを感じている場合は、歯科ではなくリウマチ科や膠原病内科などの専門医を受診する必要があります。また、消化器系の疾患、特に「クローン病」や「潰瘍性大腸炎」といった炎症性腸疾患も、口の中に特異な症状を出すことがあります。口から肛門までは一本の消化管で繋がっているため、腸で起きている炎症が口の中に飛び火するようなイメージです。この場合、口内炎は「敷石状」と呼ばれるボコボコとした特徴的な形状を呈したり、唇が腫れ上がったりすることがあります。腹痛や下痢が続いている中で、口の中にも大きなトラブルが起きているなら、それは内科的な治療が必要なサインかもしれません。さらに、性感染症である梅毒や淋病、あるいはウイルス性の帯状疱疹なども、口の中に大きな潰瘍や水疱を作ることがあります。
ただの口内炎?それとも病気?巨大な潰瘍の正体