物心ついた時から、私の前歯の真ん中には、小さな黒い点がありました。最初は気にも留めていませんでしたが、思春期になる頃には、それが虫歯なのだと気づき、私の大きなコンプレックスになっていました。友達と笑い合う時も、集合写真を撮る時も、いつも心のどこかで「この黒い点が見られているんじゃないか」と不安になり、思いきり歯を見せて笑うことができませんでした。口元を手で隠すのが、いつしか私の癖になっていました。痛みは全くなかったので、歯医者に行くのが怖くて、見て見ぬふりを続けて何年も経ってしまいました。しかし、社会人になり、人と接する機会が増えるにつれて、このままではいけないという気持ちが日に日に強くなっていきました。意を決してインターネットで歯科医院を探し、口コミで評判の良かったクリニックのドアを叩いたのです。診察台に座ると心臓がバクバクしましたが、先生は私の不安な気持ちを察してか、とても優しく話を聞いてくれました。レントゲンを見ながら「これは初期の虫歯ですね。今日、白い詰め物で治せますよ」と言われ、私は拍子抜けするほど安心しました。治療は、まず少しだけ麻酔の注射をしましたが、想像していたような痛みは全くありませんでした。キーンという音は少し怖かったですが、先生が「もうすぐ終わりますからね」と声をかけてくれるので、リラックスして任せることができました。治療時間は、たったの30分ほど。最後に「はい、口をゆすいで鏡を見てください」と言われ、恐る恐る鏡を覗き込んだ私は、思わず「わっ」と声を上げてしまいました。そこには、長年私を悩ませてきた黒い点が跡形もなく消え、つるりとした真っ白な前歯があったのです。あまりの自然な仕上がりに、どこを治療したのか自分でも分からないほどでした。あの日から、私の世界は変わりました。長年のコンプレックスから解放され、今では誰の前でも自信を持って笑うことができます。もし、昔の私と同じように悩んでいる人がいたら、伝えたいです。勇気を出して一歩踏み出せば、世界はこんなにも明るく変わるのだと。
前歯の黒い虫歯がコンプレックスだった私が笑顔を取り戻すまで