長い間、鏡を見るのが苦痛でした。横顔の写真を撮られると、すぐに削除したくなりました。友人たちが楽しそうに笑っている中で、私はいつも口元を手で隠し、顎を目立たせないように猫背になって過ごしていました。「しゃくれ」という言葉に過敏になり、テレビでお笑い芸人が顎をネタにされているのを見ると、自分のことを言われているようで胸が締め付けられる思いでした。そんな私が、意を決して治療に踏み切り、長い闘いを経て新しい自分に出会うまでの心の軌跡をお話しします。治療への第一歩は、恐怖との戦いでした。矯正の痛み、手術のリスク、費用の負担、そして何年もかかる期間。ネガティブな要素を数え上げればキリがありません。それでも、一生このコンプレックスを抱えて生きていくことの苦痛と天秤にかけた時、「変わりたい」という思いが勝りました。診断の結果、私は「顎変形症」と診断され、外科矯正の道を選びました。術前矯正の期間は、歯並びが変わっていく過程で一時的に受け口が強調される時期もあり、精神的に辛いこともありましたが、「これが終われば綺麗な横顔になれる」という希望だけが支えでした。そして迎えた手術。麻酔から覚めた時の顔の腫れや息苦しさは、正直に言えば辛いものでした。しかし、腫れが引き始め、鏡の中で自分の横顔が劇的に変化しているのを確認した時の感動は、言葉では言い表せません。突き出ていた顎が引っ込み、Eラインが整っている。噛み合わせがカチッと安定している。それはまるで、別の誰かの顔を見ているような、不思議で、でも涙が出るほど嬉しい瞬間でした。治療を終えて一番変わったのは、顔の形よりも「心」でした。以前の私は、初対面の人と話すとき、相手の視線が口元にいっているのではないかと疑心暗鬼になり、上手く話せませんでした。でも今は、相手の目を真っ直ぐ見て話せます。口元を隠さずに、思い切り笑うことができます。「明るくなったね」「雰囲気が変わったね」と周りから言われることが増え、自分に自信が持てるようになりました。服装やメイクも、以前は「顎を目立たせないもの」を選んでいましたが、今は「自分が着たいもの」を選べるようになりました。大げさではなく、世界が鮮やかに色づいたように感じるのです。もちろん、治療は魔法ではありません。失った時間やお金、痛みという代償はあります。しかし、コンプレックスという重い鎖から解き放たれた自由は、それら全てを補って余りあるものです。もし今、しゃくれに悩み、治療を迷っている方がいるなら、私は背中を押したいです。怖いのは当たり前です。でも、その恐怖の先には、想像以上に晴れやかな未来が待っています。自分を愛せるようになるための投資は、決して無駄にはなりません。勇気を出して、専門医の扉を叩いてみてください。新しい自分へのプロローグは、そこから始まります。
治療を決断した私が見た新しい世界と心の変化