「前歯を抜いたら、最終的な歯が入るまで、歯がないまま過ごさなければならないの?」これは、前歯の抜歯を控えた患者さんが抱く、最も大きな不安の一つです。人と話したり、食事をしたり、笑ったりする時、前歯がない状態は社会生活において計り知れないほどのストレスとなります。しかし、安心してください。現代の歯科治療では、患者さんが「歯のない期間」を過ごすことがないよう、「仮歯(かりば)」というものが重要な役割を果たします。仮歯とは、その名の通り、最終的な人工の歯(インプラントの上部構造やブリッジなど)が完成するまでの間、一時的に装着しておくプラスチック製の歯のことです。この仮歯には、単に見た目を補うだけでなく、いくつかの非常に大切な役割があります。まず第一の役割が「審美性の維持」です。抜歯したその日のうちに仮歯を入れることで、歯を失ったことを他人に気づかれることなく、日常生活を送ることができます。これは、患者さんの精神的な負担を軽減する上で、非常に大きな意味を持ちます。第二に「機能性の確保」です。仮歯があることで、食事をしたり、はっきりと発音したりすることが可能になります。第三に「歯の移動を防ぐ」という重要な役割です。歯が抜けたスペースを放置しておくと、両隣の歯が倒れ込んできたり、噛み合う相手の歯が伸びてきたりして、歯並び全体が乱れてしまいます。仮歯は、このスペースを確保し、最終的な歯を入れるための場所を守る役割を担っているのです。さらに、インプラントやブリッジ治療においては、最終的な歯の形や大きさをシミュレーションし、理想的な歯茎のラインを作り出すためにも、この仮歯が積極的に用いられます。仮歯はあくまで一時的なものであるため、硬いものを噛むと壊れやすかったり、色がつきやすかったりしますが、治療期間中のあなたの生活と、最終的な治療の成功を支える、なくてはならないパートナーなのです。
歯がない期間は作らない!前歯抜歯と「仮歯」の重要性