舌扁桃炎というあまり知られていない病気
舌の付け根に痛みや違和感が続く時、その原因の一つとして「舌扁桃炎(ぜつへんとうえん)」という、あまり聞き慣れない病気の可能性があります。私たちは一般的に「扁桃腺」というと、口を開けた時に喉の両脇に見える口蓋扁桃を思い浮かべますが、実は扁桃組織は喉の周りにいくつか存在し、輪のように連なって体を守っています。その一つが、舌の付け根にあるリンパ組織の集まりである「舌扁桃」です。この舌扁桃が、細菌やウイルスの感染によって炎症を起こした状態が舌扁桃炎です。口蓋扁桃に起こる一般的な扁桃炎と比べると頻度は低いですが、舌の付け根の痛みの原因として見過ごすことはできません。症状としては、舌の付け根の痛みや異物感、飲み込む時の痛みが主となります。炎症が強い場合は、発熱や倦怠感を伴うこともあります。口蓋扁桃炎と症状が似ているため、区別がつきにくいことも少なくありません。また、舌扁桃は口を開けただけでは見えない、かなり奥まった場所にあるため、患者さん自身が鏡で見て異常に気づくことは困難です。診断には、耳鼻咽喉科でファイバースコープなどの専門的な器具を使って、直接舌根部を観察する必要があります。急性炎症の場合は、抗生物質や消炎鎮痛剤の投与、うがいなど、通常の扁桃炎と同様の治療が行われます。炎症を繰り返す慢性的なケースや、舌扁桃が大きく腫れて気道を狭めるような場合は、手術が検討されることもあります。舌の付け根の痛みが長引く、喉の違和感が取れない、といった症状があるにもかかわらず、通常の診察では異常がないと言われたような場合は、この舌扁桃炎の可能性も視野に入れ、耳鼻咽喉科の専門医に詳しく診てもらうことが重要です。