舌の付け根の痛みに潜む稀な病気
舌の付け根の痛みは、そのほとんどが扁桃炎などの一般的な炎症によるものですが、ごく稀に、より専門的な診断と治療が必要な病気が隠れていることもあります。過度に心配する必要はありませんが、知識として知っておくことで、万が一の際の早期発見に繋がる可能性があります。その一つが「舌咽神経痛(ぜついんしんけいつう)」です。これは、顔の感覚を司る三叉神経に起こる三叉神経痛と似た、脳神経の病気です。舌の奥や喉、耳の感覚を支配している舌咽神経が、血管などによって圧迫されることで、発作的な激痛を引き起こします。痛みは、飲み込む、あくびをする、話すといった動作をきっかけに、舌の付け根から耳の奥にかけて、電気が走るような、あるいは突き刺すような、非常に強い痛みが数秒から数分続くのが特徴です。痛みは片側に起こることがほとんどで、あまりの激しさに食事を摂るのが困難になることもあります。診断には専門的な知識が必要で、治療には薬物療法や、場合によっては手術が選択されます。もう一つ、最も注意すべきなのが「舌がん」をはじめとする悪性腫瘍です。舌がんは舌の側面(舌縁)にできることが圧倒的に多いですが、稀に舌の付け根(舌根部)に発生することもあります。舌根部にできたがんは、初期には自覚症状がほとんどなく、進行してから舌の付け根の痛みや違和感、飲み込みにくさ、首のしこり(リンパ節転移)などで気づかれることが多いのが特徴です。初期の口内炎と見分けがつきにくいこともありますが、二週間以上治らないしこりや潰瘍がある場合は、絶対に放置してはいけません。これらの病気は非常に稀なものですが、痛みが長期間続く、痛みが異常に強いなど、一般的な炎症とは違うと感じたら、迷わず専門医を受診してください。