飲み込むと痛む舌の付け根の不調
唾を飲み込む、お茶を飲む、食事をする。私たちが日常的に無意識に行っている「飲み込む」という行為。しかし、舌の付け根に痛みがあると、この当たり前の動作が、途端に苦痛なものに変わってしまいます。飲み込むたびにズキッと走る痛みは、生活の質を大きく低下させる厄介な症状です。この「嚥下痛(えんげつう)」が舌の付け根に現れる場合、その原因の多くは喉の奥、咽頭や扁桃の炎症にあります。食べ物や唾液が喉を通る際、炎症を起こして腫れている部分に触れることで、強い痛みが生じるのです。風邪のウイルスや細菌による急性扁桃炎や急性咽頭炎がその代表格で、発熱や全身の倦怠感を伴うことが一般的です。また、口内炎が舌の付け根や喉の近くにできている場合も、同様に強い嚥下痛を引き起こします。表面からは見えにくいため、原因が分からず不安になることもありますが、これも非常に多い原因の一つです。一方で、飲み込む時の痛みが長期間続いたり、徐々に悪化したりする場合には、注意が必要です。特に、食べ物がつかえる感じや、むせる感じを伴う場合は、単なる炎症ではない可能性も考えられます。例えば、舌の付け根やその周辺に腫瘍(良性・悪性を含む)ができている場合、それが物理的な障害となって嚥下時の痛みを引き起こすことがあります。また、非常に稀ですが、舌咽神経痛という神経の病気が、飲み込む動作をきっかけに、舌の付け根や喉に電気が走るような激しい痛みを引き起こすこともあります。飲み込む時の舌の付け根の痛みは、多くの場合、数日で改善する喉の炎症によるものですが、症状が長引く、あるいは他に気になる症状がある場合は、決して軽視せず、耳鼻咽喉科などの専門医に相談することが重要です。