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2025年11月
  • 黒い歯石とは?歯茎の隙間に潜む危険なサイン

    知識

    歯の隙間に見える黒いもの。それがもし、歯の表面ではなく、歯と歯茎の境目や、歯茎の中に透けて見えるような場合は、「黒い歯石」である可能性が非常に高いです。一般的に、歯石というと、歯の表面に付着する白っぽいものを想像しますが、この黒い歯石は、それとは全く性質が異なり、歯周病が進行していることを示す、極めて危険なサインなのです。この黒い歯石は、専門用語で「縁下歯石(えんかしせき)」と呼ばれます。その名の通り、歯茎の縁よりも下、つまり、歯と歯茎の間の溝である「歯周ポケット」の奥深くに形成されます。なぜ、黒い色をしているのでしょうか。それは、その成り立ちに関係しています。歯周ポケットの中は、歯周病菌の温床です。歯周病が進行すると、歯茎は炎症を起こして出血しやすくなります。縁下歯石は、歯垢(プラーク)に、唾液の成分だけでなく、この歯茎からの出血に含まれる血液成分(ヘモグロビンなど)が混じり合って、石灰化することで形成されます。血液中の鉄分などが影響し、黒く、そして非常に硬い歯石となるのです。この黒い歯石は、表面がザラザラしているため、さらに歯周病菌が付着しやすく、歯周病を悪化させる絶好の足場となります。毒素を出し続ける歯周病菌の塊が、歯の根元にこびりついている状態を想像してみてください。その結果、歯茎の炎症はさらにひどくなり、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かし始めます。これを放置すれば、歯周病は重度化し、最終的には歯がグラグラになって、抜けてしまうことにも繋がります。黒い縁下歯石の最も厄介な点は、歯周ポケットの中に隠れているため、自分では見つけにくく、そして、歯ブラシやフロスでは絶対に除去できないことです。この危険なサインを取り除くためには、歯科医院で、スケーラーという専用の器具を使った、専門的な歯石除去(スケーリング・ルートプレーニング)を受けるしかありません。歯の隙間から黒いものが透けて見えたら、それは歯周病からの緊急警報です。手遅れになる前に、必ず歯科医院を受診してください。