2025年8月
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突然始まった舌の付け根の痛み
それは、特に変わったこともない普通の日の午後でした。デスクでコーヒーを飲んでいた時、ごくりと唾を飲み込むと、舌の付け根の奥の方に、ズキリとした鈍い痛みが走ったのです。最初は気のせいかと思いましたが、その後も意識して唾を飲み込むたびに、同じ痛みが繰り返されました。鏡で口の奥を覗いてみても、特に何かできている様子は見えません。しかし、痛みは確かにそこに存在しているのです。見えない部分の痛みというのは、見える部分の痛みよりも何倍も不安を掻き立てるものです。もしかしたら何か悪いものでもできているのではないか。そんな考えが頭をよぎり、仕事が全く手につかなくなってしまいました。その日の夜、食事をするのも一苦労でした。食べ物を飲み込むたびに、舌の付け根が痛むのです。楽しみにしていた夕食も、味わうどころではありませんでした。翌日になっても痛みは引かず、むしろ少し強くなっているようにさえ感じられました。私は意を決して、近所の耳鼻咽喉科を受診することにしました。診察の結果、医師から告げられたのは「急性扁桃炎」という診断でした。喉の奥にある扁桃が赤く腫れ上がっており、その炎症が舌の付け根の痛みとして感じられていたのだろう、とのことでした。原因がはっきりと分かった瞬間、あれほど私を苛んでいた不安がすっと消えていくのを感じました。抗生物質と痛み止めを処方してもらい、数日間安静にしていると、あの不快な痛みは嘘のように消えていきました。体の不調は、原因が分からないことこそが最大のストレスなのだと、身をもって知った出来事でした。