2025年7月
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逆流性食道炎と舌の付け根の痛みの関係
舌の付け根に、ヒリヒリ、ジンジンとした慢性的な痛みが続く。特に、朝起きた時に症状が強い。そんな場合、喉の炎症や口内炎だけでなく、意外な原因として「逆流性食道炎」が隠れている可能性があります。逆流性食道炎とは、胃の中で食物を消化するために分泌される強力な酸である胃酸が、食道へと逆流してしまう病気です。通常、胃と食道の間は、下部食道括約筋という筋肉によって固く閉じられており、胃の内容物が逆流しないようになっています。しかし、加齢や食生活の乱れ、肥満などによってこの筋肉の働きが弱まると、胃酸が食道へと漏れ出してしまうのです。食道の粘膜は胃の粘膜と違って酸に弱いため、逆流した胃酸によって炎症を起こし、胸やけや呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)といった典型的な症状を引き起こします。そして、この逆流がさらにひどくなると、胃酸は喉、つまり咽頭や喉頭まで達することがあります。これを「咽喉頭酸逆流症」と呼びます。喉や舌の付け根の粘膜も、もちろん胃酸に対する抵抗力はありません。そのため、夜寝ている間などに逆流してきた胃酸によって粘膜が繰り返し刺激され、慢性的な炎症を起こしてしまうのです。その結果、舌の付け根の痛みやヒリヒリ感、喉の違和感、しつこい咳、声がれといった、一見すると胃とは関係なさそうな症状が現れることがあります。もし、舌の付け根の痛みに加え、胸やけや慢性的な咳などの症状に心当たりがある場合は、耳鼻咽喉科だけでなく、消化器内科で相談してみることも一つの選択肢です。生活習慣の改善や適切な薬の服用で、長年の悩みが解決するかもしれません。